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世界初・毛髪内部の新発見に成功したタカラベルモント研究開発のチームワークとは?(前編)

 毛髪の中心部にあり、これまで構造や機能等は解明されていなかった「Medulla(メデュラ)」。

 タカラベルモント(株)(吉川秀隆会長兼社長)の化粧品研究開発チームが、その構造の真相に迫り、状態をコントロールする技術を発見し、昨年10月に横浜で開催された国際化粧品技術者会連盟主催の学術大会『IFSCC Congress 2020 Yokohama』で口頭発表をした。

 毛髪の未知の領域の解明にチャレンジした経緯やその舞台裏について、同社・広報室・桝井氏が取材した(PR TIMES STORY配信)。

※冒頭写真:タカラベルモント(株)化粧品研究開発部
前列左から:平山貴寛さん、中嶋礼子さん、萬成哲也さん
後列左から:戸田和成さん、金澤莉香さん

常識を疑え!不可能と言われていた毛幹部の縦切り技術に挑む

毛の切片の画像は、輪切りしかないのか?

「今回のMedullaの研究は、ホッキョクグマの毛を輪切りにした切片の画像を見たことがきっかけです。人間の髪も輪切りの切片の画像がほとんどです。髪の毛(毛幹部)は細くて硬く、人によっては縮れもあって縦に切るのが難しい。そのため、世の中にある髪の切片の画像は、髪を輪切りにしたものしかありませんでした。

 本当に輪切りにしかできないのか? 縦に切ることは不可能なのか? 今までの常識をもう一度見直して、チャレンジしたい! そんな思いがわいてきました(萬成)」

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夢にまでみた毛髪の縦切り切片の作成は、手作業から生まれた

 その思いを上司である中嶋研究員に伝えたところ、能力育成の観点から会社設備を使用して毛髪を縦軸にスライスすることにチャレンジできることに。とにかく空いた時間があれば、一人で試行錯誤しながら髪をスライスする日々が続いたといいます。

「髪の毛を手作業でスライスしていくのですが、縦に切ろうとすると、髪の毛にうまく刃が入らない。だから、切ることができない。髪の毛ではなく自分の指を切ってしまうなどの失敗も多々ありました。

 数えるのもイヤになるほど、とにかく髪をスライスしましたし、どうしたらキレイに切れるのかをずっと考えて試行錯誤していました。あまりにも考えすぎていたので、夢にまで髪の切片が出てくるぐらいでした(笑)。

 そして、なんとか課題をひとつずつクリアして、キレイな切片を作成できるようになるまで1年もかかりました(萬成)」。

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萬成哲也研究員

 この時点で、すぐに次の活動に向いていた萬成研究員は、その後、観察を続ける中で、髪の中心にあるMedullaには、white Medulla(ホワイト・メデュラ)とblack Medulla(ブラック・メデュラ)の2つの種類があることを発見します。ここで、ようやく今までチャレンジしてきたことに意味があったと感じたといいます。

チーム・メデュラ結成!未知なるMedullaの構造にせまる

 この発見を機に、萬成研究員、戸田研究員、中嶋研究員の3名によるチームが結成されることになります。

若い個性の集まりをまとめることで結果を出す

「話を聞いたときは、とにかく凄い! と思いました。それとともに、何か画期的なことが出来るのではないかとワクワクしました(中嶋)」。その時のことを中嶋研究員はこう振り返ります。

 そこで、萬成研究員と同期入社で製品開発の得意な戸田研究員に声をかけたところ、世界初の独自技術を製品開発に活かしたいとメンバーに参加。「この研究が面白そうだ!」ということで自発的に集まった3人でMedullaの研究がスタートしました。研究者気質の萬成研究員、研究シーズから製品開発がしたいと常々考えていた戸田研究員。

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中嶋礼子研究員

 この若く個性の違う二人が研究に集中できるよう見守りながら、社内外の調整役に徹した中嶋研究員とそれぞれの個性を活かし、研究を進めていきました。この3人が集まったのは必然の流れだったといえるのかもしれません。そして、しばらく後に研究をより充実させるために平山研究員がメンバーに加わります。

顕微鏡で観察の日々も、未知なるMedullaへの興味と好奇心で乗り越え

 こうして平山研究員を加えたチームは、white Medullaとblack Medullaを顕微鏡で観察し続けます。そもそもMedullaに関する情報がほとんどなかったため、自分たちで2種類のMedullaと髪質との関連から明らかにする必要があったのでした。

 例えば、白髪と黒髪のそれぞれについて、white Medullaが何%、black Medullaが何%というように、さまざまな条件の毛髪を集め、根本から毛先まで1本ずつ顕微鏡で調べて、データを取っていきました。この作業は、平山研究員と戸田研究員の二人が中心になって行なわれましたが、二人は本当に大変だったと振り返ります。

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平山貴寛研究員

 「多い時には1日10時間以上顕微鏡の前に座っていたこともありました。本当に辛い作業で、楽しみといえば最後にグラフや表で結果を見る時くらいでした。それでも未知のものに対する興味と好奇心から乗り切ることができました。戸田さんと二人で取り組んでなかったら、もっと時間はかかっていたと思います(平山)」

 戸田研究員は、平山研究員が測定したデータをパソコンに入力する日々が続いたといいます。

「製品開発の初めに、ターゲットとなる髪質を設定する(仮説をたてる)必要があるため、本当に必要な作業なのですが、大変でした。こうした地道な作業があったからこそ、白髪の人にはblack Medullaが多いことなど、さまざまな発見がありました(戸田)」

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戸田和成研究員

 毛髪を縦にスライスする技術の開発、そして未知なるMedullaの真相に迫った発見には、それぞれ地道な努力と、研究者としての発見の喜び、そしてチームワークがあったからだと言えるのだと思います。

(後編に続く)Medullaの状態をコントロールする技術に関するストーリーを紹介。

リリース「世界初、毛髪の中心部「メデュラ」の構造変化を新解明」
https://www.tb-net.jp/press/201021.html

化粧品研究開発部 中嶋礼子
2011年、入社。武庫川女子大学 薬学部卒業。
在学時は、生薬学領域の研究室で、漢方薬のセンナ、ダイオウの生体内動態研究を行なう。スキンケアメーカーに勤務し、商品開発に携わった後、転職。スキンケア製品の開発を担当するとともに、Medullaをはじめとする複数の基盤研究を担当している。

化粧品研究開発部 博士(学術) 萬成哲也
2014年、入社。京都工芸繊維大学大学院 博士課程修了。
在学時は脳神経科学の領域の研究室で、脳組織をスライスにして観察する組織化学の技術そして考え方を学ぶ。入社後は、ヘアケア製品(特にメンズ)の開発を担当。現在は毛髪の内部を観察する毛髪科学を主とした研究に専念している。

化粧品研究開発部 戸田和成
2014年、入社。大阪大学大学院 修士課程修了。
在学時は、天然物化学領域の研究室で「海綿」からの有効成分探索により新規抗がん剤の創薬研究に携わる。入社後は、カラー剤の研究からキャリアをスタート。現在、メンズスキンケアやヘアケアの製品開発に携わる。同時に基盤研究としてMedullaにおける構造変化を解明し、そこに着目した化粧品分野への応用方法を模索。

化粧品研究開発部 平山貴寛
2017年、入社。立命館大学大学院 修士課程修了。
在学時は神経科学の領域の研究室で、培養神経細胞を用いたタンパク質の機能解析を行う。入社後は、ヘアケア製品や一部スキンケア製品の開発を担当。現在は、あわせてMedullaをはじめ、複数の基盤研究を担当している。

化粧品研究開発部 金澤莉香
2020年、入社。大阪大学大学院 修士課程修了。
在学時は、構造生物学の領域の研究室で、生体内のタンパク質について、電子顕微鏡を用いた画像解析を行ない、構造的解明に取り組む。


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