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ジャズとTシャツとわたし/高橋 龍

第6回 各奏者のセンスが光るアドリブに酔いしれる

今回から3回に渡り、19世紀以降の音楽の変遷をひも解きながら、3つのジャンルの音楽とそれにまつわるTシャツについて紹介していきたいと思います。そもそも、今存在するさまざまな音楽の根源は、民族音楽にあります。ある民族音楽が他の民族音楽と混ざり合い、新たな音楽の文化を形成し、それがまた、異なるジャンルの音楽とミックスして……と、この繰り返しで音楽は今日まで進化を遂げてきました。特に、ときに愉快で、ときに怒りや哀しみに満ちた黒人音楽に触れずして、現代の音楽を語ることはできません。今回のテーマである「ジャズ」も、黒人音楽を起源にした音楽の1つであり、あらゆるポピュラー音楽の原点的な存在でもあります。

 18世紀後半に西洋音楽とアフリカ音楽が組み合わさってできたと言われているジャズ。その発祥地、アメリカ・ルイジアナ州ニューオーリンズは、かつてはフランスやスペインの植民地であり、また、黒人が働き口を求めて集まった街。まさしく「人種のるつぼ」であり、ジャズがそこで生まれたというのも納得です。ジャズには、サックスやトランペット、ピアノ、ベース、ドラムなどさまざまな楽器が登場しますが、ときにそれぞれの奏者が譜面通りではなく、アドリブ(即興演奏)でセッションすることがあります。これが、ジャズの魅力の1つバンドというよりは、ジャズミュージシャン1人ひとりの個性が際立つため、ジャズTシャツは1人の奏者にフォーカスしたデザインが多いのだろうと思います。ちなみに、左ページにも出てくるアルトサックス奏者のチャーリー・パーカーは、アドリブを追究し、ジャズに革新をもたらした伝説的人物です。

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ジャズTを主役に、ドレッシーにコーディネイトしてジャズクラブに行くという、粋な楽しみ方を彼女と。そんな中、カクテル片手に見つめられたら、100%惚れ直す!

 また、ジャズTシャツは、なぜか黒地のボディが多いです。これは僕の予想ですが、ジャズを聴くあの薄暗いムーディな様子を醸し出すためか、もしくは、素晴らしい音楽を生み出した黒人たちへ敬意を表しているのかもしれません。音楽関連のヴィンテージTシャツと言えばロックのイメージが強いかもしれませんが、個人的には、次はジャズがくると見ています。ハイファッションの世界でも、ヴァージル・アブローがLOUIS VUITTONのメンズウェアデザイナーを務めたり、ブラックカルチャーから着想を得てコレクションを発表するブランドがあったりと、「黒人のセンス」に今、熱い視線が注がれているからです。時代の流れを読みながら、そのルーツを探り、関連したTシャツを集めてみる。そんな楽しみ方もいいなと思う今日この頃です。

[ジャズ]Tシャツコレクション

Tシャツにプリントされたジャズ界のレジェンドたち。彼らの奏でるメロディーとリズムにのって、真夏の夜も体を揺らそう。

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CHARLIE PARKER(1920-1955)
アルトサックス奏者。1940年代初頭にモダン・ジャズの原型となるビ・バップスタイルを創成したことから「モダン・ジャズ(ビ・バップ)の父」と言われている。複雑で変則的なコード進行でアドリブをきかせた演奏は、伝説と化している。

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BILLIE HOLIDAY(1915-1959)
女性ジャズ・ボーカリスト。しっとりとした歌声と類まれなる表現力で多くの人々を魅了。アメリカの人種差別の惨状について歌った『奇妙な果実』が有名。他方で、薬物依存症、アルコール依存症などに苦しみ、わずか44歳でこの世を去った。

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JAMES MOODY(1925-2010)
チャーリー・パーカーと共にビ・バップスタイルを築いたトランペット奏者のディジー・ガレスピーの楽団を足掛かりにソロデビュー。アルトサックス、テナーサックス、フルートを自在に操るアドリブが魅力。出世作は「I'm in the Mood for Love」。

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GENE KRUPA(1909-1973)
スウィング・ジャズのスターとして活躍したドラマー。全身を思いっきり使った躍動的な演奏で圧倒的な存在を放った。また、「ジーン・クルーパ楽団」を設立し、才能ある人材の発掘やバンドオーガナイザーとしても手腕を振るった。

ヴィンテージTシャツの豆知識 vol.6

ジャズクラブのドレスコードって?
ジャズクラブと聞くと、ラグジュアリーな雰囲気でドレスコードがありそうな印象だが、案外ないところが多いそう。だから、TシャツもOK! それでも、せっかくだから少しキレイめのコーディネイトでスペシャル感を演出するのがおすすめ。

解説_高橋 龍
たかはし・りゅう/映画、音楽、アートのヴィンテージTと90sカルチャーを感じさせる古着を専門に扱う「anytee」のオーナー。
instagram : anyteeshop

イラスト_Mizmaru Kawahara

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※本記事は、『ヘアモード』2019年8月号で掲載した記事を転載しました


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