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【第1話】見えないキャリアアップ(ストーリー編)/あのスタッフなぜ辞めてしまったのか?

辞めていくスタッフは、実は離職のサインを出している。
「オーナー」と「 辞めていく人」、 2つの視点から語られる 、エピソードを基 に 、離職を防ぐポイントを探ろう。

文・解説/多田 暢[melt]

第1話 見えないキャリアアップ(ストーリー編)
「このサロンのままでよいのだろうか…?」

登場人物
オーナー…………妻と2人でサロンを営む。
スタイリスト…27歳。最近、転職したばかり。

オーナーの視点

 セット面5席、妻と2人で始めた小さなサロン。少しずつお客さまが増えて、アシスタントも採用。3人でのサロンワークは順調で、売上も伸びていた。ある日、男性のスタイリストが面接に来た。
「アットホームなサロンで働きたいと思っている」と彼は言い、印象も良いので、採用することにした(➀)。

 その男性スタイリストは、やる気に満ち、撮影にも熱心で、新規のお客さまも少しずつではあるが、増えてきた。いつかは彼に店長を任せたい、と思っていた(②)。

 私は彼に、「地域の方々に愛されるお店を目指していきたい」というサロンの方向性を伝えた(③)。彼はしっかりと聞いてくれた。それからは、近隣のお客さまの来店も増え、彼の売上も少しずつ上がっていった。お店全体の売上も順調に伸びていき、サロン運営は問題ないと思っていた(④)。

 最近、彼の様子が少しおかしいな、と思うことが多くなった(⑤)。けれど、以前と変わらず、撮影も熱心に行なっていて、新規のお客さまも積極的に呼んでいるし、美容師としてのやる気はしっかりとある。
 深く聞くのも怖いので、そのままにして、「また以前の彼に戻るだろう」と思い、いつも通り接するよ通り接するようにした(⑥)。

 それから半年後、彼は「辞めたい」と言い、退職していった。

スタイリストの視点

 いつも外から見えるそのサロンを営むのは、おそらく夫婦だろうか。アシスタントの女の子と 3 人でやっている。

 とても雰囲気が良いと通るたびに思っていた。 前に働いていたサロンは、スタッフも多く、人間関係が複雑なところが嫌で辞めたため、そのサロンのアットホームな雰囲気に魅力を感じていた(➊)。面接を受けたら、合格をもらえた。働いてみると、いろいろと丁寧に教えてもらえて、その温かい雰囲気は、想像していた通りだった。

 このサロンでもっと頑張っていきたい、という気持ちが増していった。3 週間ほどたって、新規客が少ないことに気付いた。もっと新規の方を呼べるように、みんなに撮影を一緒にやっていこう! と呼び掛けた(➋)。

 オーナーから、目指しているサロンの方向性を聞く機会があった(➌)。 オーナーは、地域密着型で紹介が多いサロンにしたいらしい。僕は最近、新規客に入るチャンスが少ないことに不安を感じていたが、その時は何も言わず、聞いていた(➍)。

 ある日、美容師の友人に、新規に入れるチャンスがどれだけあるか、聞いてみた(➎)。友人の新規客はすごい人数で、そのサロンでは皆、売上がしっかり上がっているようだった。僕は、新規客にもっと入れるサロンに行きたい、と思うようになっていた(➏)。

 半年後、オーナーに辞めたい意思を伝えた。今は、新規入客のチャンスが多いサロンで働いている。

離職のサインはどこにあったのか?

解説編に続く☞

PROFILE 多田 暢(ただ・のぶる)/1988年生まれ。東京都出身。日本美容専門学校卒業後、都内の大規模店に就職。6年間在籍し、広報部門やプロジクトリーダーなどを担当したことで、人事や労務、働き方に興味を持つ。
2015年、吉祥寺に「melt」をオープン。その後、’18年に2号店の「emis」、
’20年に3号店の「cofy」を同じく吉祥寺に出店。「スタッフの生活水準の向上」と「質の良い働き方」をテーマにサロンを運営中。

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